有名企業も実施する企業内大学とは何か?研修との違いや企業・従業員のメリットまとめ

働き方を抜本的に改革して長時間労働の抑制を図る動きが活発化しています。

労働時間を短縮するには、単純なコストカットや時間削減ではなく、生産性の向上が不可欠です。労働人口の減少により人材不足に悩んでいる会社が年々増えている中で、企業内大学の設立は他の企業と差別化を図ることができ、、将来、活躍する人材やリーダー育成の場だけではなく、働いている社員、会社全体の底上げにもつながります。

今回は、有名企業も実施する企業内大学とは何か?研修との違いや企業・従業員のメリットについて解説します。

企業内大学とは?

企業内大学とは、従業員が自身の目標やキャリアプランに合わせて、必要な講座を選択して受講できる、企業内の研修制度のひとつです。

企業内大学とは、CU(コーポレートユニバーシティ)と略されることもあります。企業によって制度の独自色がありますが、大学の講座のように必修科目と選択科目が用意されているのが代表的な形式です。

少子化やグローバル化により人材獲得競争が激しくなる中、人材を大量採用し、その中から優秀な従業員を選抜するという手法は難しくなっています。そこで、内部で優秀な人材を育成するための仕組みが企業内大学です。リーダー層だけでなく、全従業員が対象となり、一般の従業員が専門知識を深めたり、キャリアアップを図ったりすることができます。

一般的には、大学の講義のように必修講座と選択講座があり、社員は自分の目標や都合に合わせてプランを組み立てられます。

以前は、将来の幹部候補を早期選抜し、リーダーになるために集中的な教育を行っていましたが、昨今の企業間競争の激化や時代の変化に柔軟に対応できる優秀な人材確保の必要性から、受講対象が全社員で、誰でも応募可能な公募制を採用し、社員レベルの底上げと、自発的な学習意欲の向上を意図する動きが活発となっています。

企業内大学を管轄するのは社員研修を請け負っている人事部ではなく、独立した部署です。受講内容に関係する部署の社員が講師を担当したり、外部教育機関の活用や社外から講師を招くなど、より専門的な講座がメインとなっています。

企業内大学は、GE(ゼネラル・エレクトリック社)の「クロトンビル経営開発研究所」やモトローラ社の「モトローラユニバーシティ」、マクドナルド社の「ハンバーガーユニバーシティ」など、1950年代から米国の主要企業が開設してきたのが始まりと言われています。

企業内研修との違いとは?

入社後、一定期間内で行われる研修は、ビジネスマナーや通常業務に必要なスキルの向上を目的としています。

一方、企業内大学は従来の研修とは異なり、(業務にかかわる専門知識と能力の修得、企業のコアコンピテンシーの正しい理解の促進、次世代リーダーの輩出と企業独自の経営戦略にふさわしい人材の育成などを目的として運営されており、社員の将来へのキャリアアップに繋げることが主な狙いとなっています。

社内研修と企業内大学では講義の目的が違います。一定期間内でおこなわれる研修は、ビジネスマナーや通常業務に必要なスキルの向上を目的にしています。社員研修の一環として、多くの企業が実践しているのが、OJT(On-the-job Training)です。人材育成全体の9割近くの時間を占めると言われています。

OJTとOFF-JTについては、以下記事を参照ください。

【OJTとOFF-JTとは?】違いやメリット・デメリット、活用できる助成金まとめ

OJTは実務を通して上司が部下に、またはベテラン社員から若手社員へと知識やスキルを継承していくものです。しかし、OJTでは、直近の業務を学ぶことしかできないため、社員がモチベーション高く研修に参加することや自身の将来について考える機会はないと考えられます。

また、企業内大学とでは講義内容を決定するプロセスが違います。企業内大学では、社員が聞きたいとニーズを汲み取り、講義内容を決定できるため、自然と社員の興味のある講座を用意することが可能です。そのため、参加する社員のモチベーションが高まります。

企業内大学のメリット

企業内大学は、企業に必要な人材を育成するだけでなく、優秀な人材を確保するために有効な仕組みといえます。

企業内大学を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。企業、従業員の立場からそれぞれについて解説します。

 企業側のメリット

企業側には、以下のようなメリットがあります。

① 優秀な人材の確保

将来的にも人材不足は続くと予想されるため、内部での人材育成がさらに重要になります。企業が求める能力を得るためのカリキュラムを用意することで、その業務やポストに必要な人材を育成することができます。

② 従業員の能力の底上げ

全従業員を対象とすることで、能力の底上げが期待できます。人材を潤沢に得ることが難しくなっている現在、全従業員が専門知識を深め、優秀な即戦力になり得ることは事業戦略の上でも重要なことです。

③ 求職者へのアピール

近年は売り手市場です。人材確保のためには、求職者に選ばれる企業になる必要があります。企業内大学を設置していることで、求職者からは従業員の育成を重視し、キャリアアップを支援する企業と好意的に受け止められ、企業選定の際の魅力的な要素となります。

従業員側のメリット

従業員側には、以下のようなメリットがあります。

① キャリアアップにつながる

企業内大学では、能力や業務によって、さまざまな講座が用意されています。自身が設定した目標を達成するため、また将来のキャリアプランを実現するための講座を自ら選んで受講できます。

② 誰でも学びの機会が得られる

全従業員が受講対象とされていて、在職年数に関わらず、誰でも受講することができ、自身が望めば望むだけ、スキルアップが可能です。

企業によっては、独自の基準で認定した従業員を講師として登壇させる制度があり、実際の現場のノウハウを受講者に伝えることができます。また、講義をするには念入りな準備が必要になるため、アウトプットによる学びもあるでしょう。

③ 無料で受講できる

従業員だけでなく、ビジネスマンにとってスキルアップは非常に高い興味を持っています。そんな中、企業内大学の受講は当然無料になるため、学習意欲の高い人材にとっては魅力的にうつります。その過程で自身の業務を整理したり、さらに知識を深めたり、さまざまな学びがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

企業内大学は、国内では、ソニー、富士通、トヨタ、ユニチャーム、ローソン、ニチレイ、資生堂などが設立し、大企業を中心に導入に動きました。企業内大学は、内部の社員の能力が向上するだけでなく、外部からも魅力にうつり、そこで学びたいと思う優秀な人材が集まってくるかもしれません。

スキルアップには、モチベーションが重要です。そこで研修とは別に企業内大学を設立し、社員が能動的に学習できる環境を整えてみてはいかかでしょうか。