IPO(新規公開株)とは ?会社をIPOさせる起業家と投資家のメリットまとめ

2018年6月19日、話題の「ユニコーン企業」メルカリが東証マザーズに上場しました。

株式市場に上場するには、準備作業が必要です。上場準備作業には、主幹事証券会社、監査法人およびその他外部のサポート会社の選定・決定、並びに社内管理体制や開示体制の整備・運用、資本政策の検討・実行、申請書類の作成、上場審査への対応、IR活動を経て株式上場に至るまでの全ての準備作業が含まれます。

これらの作業は非常に範囲が広く、部門横断的な課題が多いため、部門間調整等の作業も多くなり相当の時間を要するものです。

スタートアップや起業家にとって、IPOは会社にとって成長の通過点であり、最終的なゴールではありませんが、長い時間とコストをかけて行うことになります。IPOによって資金調達などがしやすくなる一方、経営の自由度は低くなるなどの影響もあります。

今回は、IPO(新規公開株)とは ?会社をIPOさせる起業家と投資家のメリットについて解説します。

IPOとは?

IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、新規公開株のことです。未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることを言います。

具体的には、企業が資金集めをする際に、一般の投資家に向けて自社の株を売り出すことで株に保有させることを指します。未上場だった企業が、新規に株式上場をし、上場前に株主が保有していた株式を売り出すことからInitial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)と呼ばれています。

企業にとっては上場することにより、直接金融市場から広く資金調達することが可能となり、また上場することで知名度が上がり、社会的な信用を高めることができるといったメリットがあります。

起業家にとってのIPOのメリット

IPOは、株式を上場させる企業や起業家にとっても大きなメリットがあります。最近では、上場による資金調達よりも信用力アップと採用力の強化を目的とする上場が増えています。

以下、起業家がIPOすることのメリットについて解説します。

多額の資金調達が可能

IPOや、その後の必要なタイミングで多額の資金調達が可能となり、事業拡大に向けた投資をスピーディーに行うことができます。

IPOにより社会的な信用が高まり、それだけ資金の調達をしやすくなります。また、株式を一般に公開することで資金調達のソースを多様化させ、経営基盤を安定させることにもつながるでしょう。

知名度の向上と信用力アップ

IPOによって知名度が上がり、上場企業としての信用力が向上します。

また、上場が決まると、新聞や雑誌を始めとするさまざまなメディアへの露出が増え、会社の知名度向上につながります。その結果、集客力が増したり、取引先などからの見られ方や取引条件も変わったりします。

また、上場できるということは会社の財務状況や業績、将来性について社会的なお墨付きが得られていることであるため、上場企業になることは、会社の社会的信用を高めることにもつながります。

人材採用力とモチベーションアップ

IPOにより、従業員の士気が高まり、上場のブランドステータスからベンチャー企業の課題である採用の面でも優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。

また、スタートアップとしてともに会社を率いてきた仲間も、「上場」という一つのゴールを達成することで、、従業員持ち株会の結成や、従業員や取締役に対してあらかじめ決まった価格で将来株式を買い取る権利を与える「ストックオプション」の導入で、働く意欲も高まるでしょう。

内部管理体制の整備

社会的に信用ある企業であるためには、法令遵守や内部統制を実現し、コーポレート・ガバナンスに務める必要があります。

上場審査をパスし、上場企業となるためには、コンプライアンスを順守し、適正な財務報告を行うための内部管理体制を構築しなくてはなりません。結果として、社内の不正防止や社会的な信用を高める大きなメリットがあります。

上場を目指す過程で改善プロセスを実行することで、経営体制の健全化につながります。

株主とストックオプション保有者の利益確保

IPOによって、株主やストックオプション保有者が利益を確保できます。具体的には、起業家、ベンチャーキャピタリスト、ストックオプションを持つ役職者、社員持ち株会のメンバーなどです。

上場後、創業者が保有している自社株式を売り出すことで利益を得ることができるため、創業者にとっては、起業して、これまで会社を引っ張ってきた苦労の報奨でもあるでしょう。

投資家にとってのIPOのメリット

投資家にとってのIPOのメリットは、普通の株と比較した際に期待できるものであり、IPOだからこそのメリットがあります。

以下ではIPOのメリットを解説します。

高利益が見込める

IPOは、上場したタイミングで大きく株価が上昇するケースが多いため、値上がり益が期待できます。上場初日は買いが殺到することによって初値が公募価格を上回ることが多いことがその理由です。

IPO株は、購入時の値段(公開価格)と、上場を果たした際の最初の株価(初値)を比べると、初値が公開価格を上回ることが多く見られます。

手数料がかからない

通常の株式取引においては株を購入する場合、売買手数料を証券会社に支払う必要がありますが、 IPOであれば売買手数料などの手数料が一切かからないため、出費を最小限に抑えることができます。

つまり公募価格さえ支払えばコストをかけずにIPO株を手に入れることができます。ただしIPO株を手に入れた後、売却する際は通常通りの売買手数料が発生するので注意しましょう。

長期保有で大きく儲けるチャンスに期待できる

株を長期保有することでより大きく儲けることができるチャンスがあるという利点があります。IPO株の中には、上場後に注目を集めることで、さらに株価が高騰することがあります。

IPOは歴史の浅い会社が多いので、企業の資金調達が資本家の株買い取りによるものが大きく、今後の事業飛躍や業務の拡大が期待できます。事業が飛躍すれば会社も成長して売り上げが伸びるため、投資家への分配にも期待できます。

公募価格が割安なことが多い

初値の公募割れによるマイナスイメージを避けるためにも、企業はあらかじめ公募価格を割安に設定することが多々あります。

割安に設定することによって初値の公募価格割れをなるべく防ぎ、満を持して上場初日を迎えるため、上場後の価格よりも安く手に入れることができるので、利益が出やすい場合が多いです。

入札方式・ブックビルディング方式とは?

株式の新規上場時の公募価格の決定手法には、ブックビルディング方式と入札方式があります。

公募価格とは、新規上場をする企業と証券会社が話し合いをして決める上場前の株価です。これは企業が資金を集めることを目的としているため、基本的には売れ残りが出ないように安めに設定されます。

ブックビルディング方式とは、証券投資への専門性が高い機関投資家などからの意見をもとに「仮条件」を設定し、投資家に提示します。その後、発行会社は「仮条件」を基に投資家からの需要を把握し、市場動向にあった発行価格を決定します。入札方式に比べると、価格が高くなりすぎるのを防ぎやすいといわれています。最近はほとんどがブックビルディング方式で決められています。

入札方式は、投資家が希望購入価格で申込みを行い、その状況に基づいて発行条件や発行価格を決定するというものです。株式取得のための投機的な入札によって、人気銘柄の発行価格が非常に高くなってしまうことがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

株式上場はメリットばかりではなく、さまざまなコストやデメリットも発生します。しかし、上場を目指す過程でコーポレート・ガバナンスが充実し、効率的な内部管理体制を確立することは、長い目で見ると会社にとってプラスになります。

また、IPOの審査に耐えられる強固な体制整備、一般の方々を含めた株主からの将来性期待、更なる成長のための資金調達など、事業を持続的に成長させる要素として、とても大きな価値があるといえるでしょう。

起業家には、IPO以外にもいくつかの出口戦略(EXIT戦略)があります。例えば、一定程度企業を成長させた後に、M&Aによるキャピタルゲインを狙うことが考えられますし、非上場のままを選ぶことも、立派な資本政策です。IPOのメリットをふまえて適切な出口戦略を立案しましょう。