介護休暇と介護休業との違いとは?制度の違いや介護休業給付金まとめ

いまやあちこちで取りざたされている「少子高齢化」。

内閣府発表の「平成30年版高齢社会白書」では、平成29年10月の時点で、日本の総人口の内65歳以上が占める割合は27.7%になりました。人口の4人に1人以上が65歳以上となった現在、現役世代が仕事と介護同時に行う機会も珍しくなくなりました。

介護のために取得できる休暇や給付金として、介護休暇と介護休業、介護休業給付金があります。今後、取得する従業員も増えると予想される、介護休暇と介護休業の違い、介護休業給付金についてはしっかりと理解しておく必要があります。

今回は、介護休暇と介護休業との違いとは?制度の違いや介護休業給付金について解説します。

介護休暇とは?

介護休暇は、病気・怪我や高齢などの理由で、家族に介護が必要になった際に取得できる休暇です。

時間単位で取得することができ、排泄・食事介助などの直接的な介護以外にも、必要な買い物や書類の手続きを行う際にも利用が可能です。

この介護休暇は1年度(年度を事業主が特に定めない場合は毎年4月1日から翌年の3月31日となる)で最大5日間、介護対象が2人以上の場合は10日間取得でき、有給休暇とは別の休暇として定められています。

なお、この介護休暇に充てられる日も、「本来労働日であった日のみ」と決まっています。もともと休日であった日に介護休暇を充てることはできません。

介護休暇の対象家族

対象家族の範囲は、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む配偶者、父母および子供(祖父母や兄弟姉妹および孫もこれらの者に準ずる)、配偶者の父母にあたります。

介護休暇の対象労働者

  • 要介護状態にある対象家族を介護する男女の労働者
  • 雇用期間が6ヶ月以上の全従業員(正社員をはじめ、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員も対象)

介護休暇を取得できるのは、「雇用期間が半年以上」で「要介護状態の対象家族を介護する、日々雇用以外の全労働者」です。正社員をはじめ、アルバイトやパート、派遣社員や契約社員も含まれます。

また、介護休暇を取得する際の「要介護状態」は、身体上・精神上の障害や疾病により2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態を指し、要介護認定の有無は関係ありません。要介護状態であることの証明を企業側から求められた場合は、各市町村の介護福祉課に問い合わせましょう。

基本的には、上記の条件が揃えば介護休暇を取得できますが、企業と労働者が介護休暇に関する労使協定を締結している場合は、適応外となることがあるので注意が必要です。

適応外の可能性が考えられるケースは、「雇用期間が1年未満」「1週間中の労働日数が2日以下」「介護休暇申請後3カ月以内に雇用が終了する」のいずれかに当てはまる場合です。労使協定は、育児介護休業法が免除される効力を持つため、しっかりと確認してから申請を行う必要があります。

介護休暇を取得できない労働者

  • 日雇い労働者
  • 雇用期間が6ヶ月未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 半日単位での介護休暇取得が困難な業務に従事している労働者

また、1日の労働時間が4時間以下の労働者は半日単位での介護休暇は取得できません。

法律で守られている権利

企業は、「事業主は介護休暇申請を拒否できない」「介護休暇を取得しても解雇される理由にはならない」ということが、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」で定められています。

また、解雇だけでなく、降格や減給、賞与の削減といった労働者側が不利益を被ることも、同法律にて禁止されています。

給与に関して

介護休暇時の賃金に関しては法的な定めはなく、各企業の判断に任されています。

大手企業は、休んだ日も給与の何パーセントかを支給してもらえる可能性がありますが、中小企業では無給のところも多数存在しています。その場合は、有給休暇として処理をすることも求められるでしょう。

介護休業とは?

介護休業制度は、労働者が要介護状態にある家族を介護するために一定の期間休業することができる制度です。

対象となる家族は、配偶者や、親子、兄弟などで、配偶者の場合は、内縁でもかまいません。「介護休業」では、対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで休むことができます。

この制度は、育児・介護休業法で定められている制度で、事業主は介護休業の申し出を拒否することはできません。

育児・介護休業法は、正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言い、「育児や介護」と「仕事」を両立させるために作られたものです。労働者の育児や介護のために休業する権利、時間外労働や深夜労働の制限、勤務時間の短縮や転勤等への配慮、不利益な取扱いの禁止などを定めています。

近年、家族の介護や看護を理由に離職や転職する人が増えており、1年間で15万人近くに上ります。そのなかでも特に女性の割合が全体の約8割となっており、とくに40代、50代の方が多い傾向にあります。

介護に専念するため離職すると収入が大幅に減ってしまい、改めて仕事を探しても、とくに中高年の再就職は非常に困難です。介護と仕事の両立は大変ですが、介護休業制度の内容をよく把握することで、仕事を辞める前に介護休業を取得して実際に介護を経験しながら、その後の介護の方法について検討することもできます。

合計93日まで取得可能

介護休暇が家族一人につき5日の休暇が取得できるのに対して、介護休業は合計で93日間まで休暇が取得できます。93日間一括での取得のほか、最大3回に分割しての取得も可能です。

介護休業の取得条件

介護休暇よりも取得できる休暇の数が増えるため、介護休業の方が取得するための条件が厳しくなっています。

<雇用期間が1年以上>

  • 介護休業の取得日から93日後~半年の間に、労働契約の期間が満了しない
  • 各企業が労使協定で定めた労働者に該当すること

契約社員やパートタイマーなど労働契約に期間が定められている場合は、契約満了日にも気を付けましょう。さらに、介護休業が取得できる従業員は、各企業が労使協定で定めた労働者です。派遣社員の場合は派遣先ではなく、派遣元に介護休業を申請し、取得することになります。

さらに、介護休暇と同じく日雇い労働者の場合は取得できません。

<2親等まで対象>

介護休業も、介護休暇と同じく要介護状態の「2親等」までの家族がいる場合に取得できます。

書面での取得申請

介護休業を取得したい日から2週間前までに、勤務先へ書面にて申請します。書面には以下の4項目を記述します。

氏名

本人との続柄

家族が祖父母、兄弟姉妹、孫である場合は同居・扶養の状況

介護を必要とする理由

介護休業申請は、法的に決まっているわけではありませんが、厚生労働省で同じく介護休業申請フォームを公開しています。

介護休業給付金とは?

介護休業で、93日も仕事を休んでしまっては、働く側にとっては金銭面で生活が厳しくなります。しかし、「介護休業」の期間は、会社員が入っている雇用保険から「介護休業給付金」が出ます。「介護休業給付金」の金額は、休業前の給与の67%が基本です。

手続きは会社経由が基本で、ハローワークに書類を提出します。タイムカードなども提出する必要がありますし、細かい規定もあるので、そのあたりは会社にまかせてしまいましょう。

手順としては、介護休業が終わった後に申請します。支給の決定が出れば、1週間ほどで振り込まれます。仕事をしている状態に比べれば金額は減ってしまいますが、「介護休業してもお金は出る」ということを知っていれば、休みが取りやすくなります。

介護休業給付金の支給対象者

介護休業給付を受けられる方は以下の3つの条件をクリアする必要があります。

雇用保険の被保険者である方

 

介護休業開始日前2年間で1年以上雇用保険に加入している方

 

介護休業開始において1年以上同事業主の下で勤務している方
※賃金支払基礎日数が11日以上ある必要があります。

雇用保険の加入条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上あること、かつ同一の事業所に継続して31日以上の雇用が見込めることが必要です。基本的には介護休業を取得する際に、同じ職場で1年以上勤務していれば、介護休業給付金の条件は満たせる可能性が高いです。

ただし、介護休業は、産前・産後休業中に開始することはできず、介護休業の期間中にほかの家族に対する介護休業、産前・産後休業、育児休業が開始された場合、それらの新たな休業の開始日の前日をもって当初の介護休業は終了し、その日以降の休業は介護休業給付金の支給対象とはなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

介護休暇と介護休業、介護休業給付金の取得条件や申請方法についてご紹介しました。

企業にとっても経験豊富な人材を失うのは大きな損失となりますので、国と企業がどのように仕事と介護の両立をサポートしてあげられるかがますます重要になっています。助成金の活用なども視野に入れ、環境を整備しましょう。