健康診断はいつ実施?雇入時や定期診断など企業の健康診断の種類まとめ

経営者の皆さんは、従業員が1人でもいると健康診断を受けさせなければなりません。従業員がパートやアルバイトだったとしても、条件を満たしていれば、健康診断を受けさせなければいけません。

健康診断には、「雇入時の健康診断」「定期健康診断」「特定業務従事者の健康診断」「海外派遣労働者の健康診断」「給食労働者の検便」「歯科医師による健康診断」があります。

企業が従業員に実施するそれぞれのケース・シーンにおいて必要な健康診断についてしっかりと確認しておきましょう。

健康診断についての詳細は以下を参照ください。

会社の健康診断は義務?健康診断ってどんな種類があるの?費用などまとめ

今回は、企業の健康診断は義務です!健康診断ってどんな種類があるの?というテーマで解説します。

雇入時の健康診断

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れたときは、医師による健康診断を行わなければなりません。ただし、雇い入れた労働者が3か月以内に健康診断を受けていてその証明する書面を提出した場合には受けた項目については健康診断を受ける必要はありません。

(注)1年以上使用される見込みのない人や1週間の労働時間が所定労働時間の4分の3未満の人は健康診断を受けなくてもよいとされています。しかし、所定労働時間数がおおむね2分の1以上であるときは、実施することが望ましいとされています。

健康診断の項目は次の通りです。

① 既往歴および業務歴の調査
② 自覚症状および他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査(赤血球数、血色素量)
⑦ 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑧ 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
⑪ 心電図検査

定期健康診断

事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内に1回、定期に医師による健康診断を行わなければなりません。

健康診断の項目は次の通りです。

① 既往歴および業務歴の調査
② 自覚症状および他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査
⑦ 肝機能検査
⑧ 血中脂質検査
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査
⑪ 心電図検査

なお、以下の検査については医師が必要でないと認めるときは、省略することができます。

① 身長の検査(20歳以上のもの)
② 腹囲の検査(40歳未満の者・35歳のものを除く)
・妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの
・BMIが20未満である者(BMI=体重(kg)/身長(m))
・自ら腹囲を測定し、その値を申告した者でBMIが22未満である者
③ 胸部エックス線検査
40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない者
・5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の者
・感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている者
・じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者

④ 喀痰検査
次のいずれかに当てはまる者
・胸部エックス線検査を省略された者
・胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者
⑤ 血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査)心電図検査
・35歳未満の者、及び36~39歳の者

特定業務従事者の健康診断

事業者は、深夜業などの特定業務に従事する労働者に対しては、当該業務への配置換えの際及び6月以内ごとに1回、定期的に、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。(ただし、胸部X線検査については、1年以内ごとに1回でよいとされています。)

特定業務には次の業務があります。(労働安全衛生規則13条第1項第2号に掲げる業務)

① 多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所に置ける業務
② 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
③ ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
④ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
⑤ 異常気圧下における業務
⑥ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
⑦ 重量物の取り扱い等重激な業務
⑧ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
⑨ 坑内における業務
⑩ 深夜業を含む業務
⑪ 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
⑫ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭酸、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散す
る場所における業務
⑬ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
⑭ その他厚生労働大臣が定める業務

海外派遣労働者の健康診断

事業者は、労働者を6月以上海外に派遣しようとするときは、あらかじめ次の項目の健康診断を行わなければなりません。また、6月以上海外勤務した労働者を帰国させ、国内の業務に就かせるときも、健康診断を行わなければなりません。

1.必ず実施しなければいけない項目

① 既往歴および業務歴の調査
② 自覚症状および他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、視力および聴力の検査、腹囲の測定
④ 胸部エックス線検査およびかくたん検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
⑦ 貧血検査(赤血球数、血色素量)
⑧ 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑨ 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
⑩ 血糖検査
⑪ 心電図検査

2.医師が必要と判断したときに実施しなければならない項目

① 腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
② 血中の尿酸の量の検査
③ B型肝炎ウイルス抗体検査
④ ABO式およびRh式の血液型検査(派遣前に限る)
⑤ 糞便塗抹検査(帰国時に限る)
※ 20歳以上のものの身長と胸部エックス線検査で所見のない場合の喀痰検査は医師が必要ないと認める場合には省略することができます。

給食従業員の検便

―事業者は、食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければなりません。

歯科医師による健康診断

事業者は、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6月以内ごとに一回、定期に、歯科医師による健康診断を行なわなければなりません。

まとめ

健康診断はやれば終わりということではありません。

健康診断の実施後も、労働者の健康の保持増進を図るため、以下、取り組まなければならない事項があります。

① 健康診断の結果の記録、保存
② 医師等からの意見聴取
③ 必要があると認めるときは、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置
④ 健康診断の結果の労働者への通知
⑤ 特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行う
⑥ 健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告

本来健康診断は、法律で規定されるまでもなく大切なことです。健康を損ない働けなくなると、従業員は生活の糧を失い、事業主は労働者を失ってしまいます。早期には自覚症状が無く、症状が現れた時にはすでに進行しているという病気は少なくありません。

症状の無い病気を早期に発見するには、無症状のうちから定期的な健康診断を受けることが大切です。健康診断の結果から、生活習慣の問題点を自覚し、改善に取り組むきっかけとし、また、病気を早期に発見し、早期治療につなげることは、労働者にとっても事業主にとっても有益なことだと思います。