健康教育やっていますか?企業の安全衛生教育及び研修(教育等)まとめ

近年の高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化、労働者の就業意識や働き方の変化、業務の質的変化等に伴い、日本人の三大死因の2つを占める心臓病及び脳卒中の誘因となるメタボリックシンドロームが強く疑われる者とその予備軍は、2千万人近くに上ると推計されています。

また、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移しています。

企業の事業場においてこれらの変化に的確に対応しつつ、安全衛生水準の向上に資する適切かつ有効な安全衛生教育を実施することが求められています。

職業生活全般を通じ適時適切な安全衛生教育、健康教育の推進を図っていますか?

安全衛生教育、健康教育はなぜ必要?

健康教育は、健康の保持・増進を目的に行われ、健康について学ぶだけではなく、ひとりひとりが健康について意識を向け、自らが健康を獲得できるようにしていく取り組みです。

企業の安全衛生教育及び研修(教育等)は、労働者の就業に当たって必要な安全衛生に関する知識等を付与するために実施されるもので、労働災害の防止の実効を期す上で極めて重要な施策です。

また、教育等は、安全衛生意識の普及・定着を促すための貴重な機会であり、安全衛生に関係する様々な立場にある者に対してその機会を提供することにより、事業場のの安全衛生水準の向上に大きく寄与するものと思われます。

このため、労働安全衛生法に基づく「雇入時や作業内容変更時の教育」、「特別教育」、「職長等教育」、「危険有害業務従事者に対する教育」、「安全衛生業務従事者に対する能力向上教育」など、労働災害の防止のために必要な教育等、安全衛生活動を図ることが必要です。

雇入時や作業内容変更時の教育とは?

事業者は労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、その労働者に対し、労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため、教育を実施しなければなりません。

雇入れ時等の教育には次のようなものがあります。

(1)機械や原材料等の危険又は有害性とその取扱い方法
(2)安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能とその取扱い方法
(3)作業手順
(4)作業開始時の点検
(5)業務に関して発生するおそれのある疾病の原因や予防方法
(6)整理、整頓及び清潔の保持
(7)事故時等における応急措置及び退避
(8)そのほか業務に関する安全又は衛生のために必要な事

雇い入れ時の教育は、パートタイマーやアルバイト労働者も対象です。

特別教育とは?

事業者は、危険又は有害な業務に労働者をつかせるときは、その業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければなりません。

1.危険又は有害な業
危険又は有害な業務には次のようなものがあります。

(1)機械集材装置の運転の業務
(2)胸高直径が70センチメートル以上の立木の伐木の処理の業務など
(3)チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務

2.特別教育の省略
特別の教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、その科目についての特別教育を省略しても差し支えありません。

3.記録
特別教育を行なったときは、その特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しなければいけません。

職長等教育とは?

事業者は、その事業場で職長等教育を行う必要のある業種に該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者に対し、安全又は衛生のための教育を行なわなければなりません。

1.教育内容
(1)作業方法の定及び労働者の配置に関すること。
(2)労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
(3)その他、労働災害を防止するため必要な事項。

2.職長等教育を行う必要のある業種
(1)建設業
(2)製造業ただし、次に掲げるものを除く。

① 食料品・たばこ製造業(化学調味料製造及び動植物油脂製造業を除く。)
② 繊維工業(紡績業及び染色整理業を除く。)
③ 衣服その他の繊維製品製造業
④ 紙加工品製造業(セロハン製造業を除く。)
⑤ 新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業

(3)電気業
(4)ガス業
(5)自動車整備業
(6)機械修理業

危険有害業務従事者に対する教育とは?

事業者が、危険又は有害な業務に現に就いている者(危険有害業務従事者)に対して行う、業務に関する安全又は衛生のための教育(安全衛生教育)について、その内容、時間、方法及び講師並びに教育の推進体制の整備等を行う必要があります。

1.教育の対象者及び種類
(1)教育の対象者は次の者とします。

① 就業制限に係る業務に従事する者
② 特別教育を必要とする業務に従事する者
③ ①又は②に準ずる危険有害な業務に従事する者

(2)教育の種類は、教育の対象者が当該業務に従事することになった後、一定期間ごとに実施する安全衛生教育又は取り扱う機械設備等が新たなものに変わる場合等に実施する安全衛生教育があります。

2.教育の内容、時間、方法及び講師
(1)内容及び時間
教育の内容は、労働災害の動向、技術革新の進展等に対応した事項とし、時間は原則として1日程度。
(2)方法
講義方式、事例研究方式、討議方式等教育の内容に応じて効果の上がる方法。
(3)講師
その業務についての最新の知識並びに教育技法についての知識及び経験を有する者。

3.推進体制の整備等
(1)教育の実施者は事業者となりますが、事業者自らが行うほか、安全衛生団体等に委託して実施することもできます。
事業者又は事業者の委託を受けた安全衛生団体等はあらかじめ安全衛生教育の実施に当たって実施責任者を定めるとともに、実施計画を作成する必要があります。
(2)事業者は、実施した安全衛生教育の記録を個人別に保存する必要があります。
(3)安全衛生教育は、原則として就業時間内に実施します。

安全衛生業務従事者に対する能力向上教育とは?

事業者が、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害防止のための業務に従事する者(安全衛生業務従事者)に対して行う、業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等(能力向上教育)について、その内容、時間、方法及び講師並びに教育の推進体制の整備等を行う必要があります。

1.教育の対象者及び種類
(1)教育の対象者は次の者とします。

① 安全管理者
② 衛生管理者
③ 安全衛生推進者
④ 衛生推進者
⑤ 作業主任者
⑥ 元方安全衛生管理者
⑦ 店社安全衛生管理者

⑧ その他の安全衛生業務従事者

(2)教育の種類は、教育の対象者が当該業務に従事することになった時に実施する能力向上教育(初任時教育)並びに当該業務に従事することになった後、一定期間ごとに実施する能力向上教育(定期教育)及び当該事業場において機械設備等に大幅な変更があった時に実施する能力向上教育(随時教育)があります。

2.能力向上教育の内容、時間、方法及び講師
(1)内容及び時間
業務に関する全般的事項を主とした初任時教育と労働災害の動向、社会経済情勢、事業場におけ
る職場環境の変化等に対応した定期教育及び随時教育とし、時間は原則として1日程度。
(2)方法
講義方式、事例研究方式、討議方式等教育の内容に応じて効果の上がる方法。
(3)講師
業務についての最新の知識並びに教育技法についての知識及び経験を有する者。
3.推進体制の整備等
(1)能力向上教育の実施者は事業者となりますが、事業者自らが行うほか、安全衛生団体等に委託して実施することもできます。事業者又は事業者の委託を受けた安全衛生団体等はあらかじめ能力向上教育の実施に当たって実施責任者を定めるとともに、実施計画を作成する必要があります。
(2)事業者は、実施した能力向上教育の記録を個人別に保存する必要があります。
(3)能力向上教育は、原則として就業時間内に実施します。

まとめ

労働安全衛生法では、「事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。」と規定されています。

技術革新の急速な進展、高年齢労働者の増加、パートタイム労働者の増加等にみられる就業形態の多様化、第三次産業の就労者数の増加等社会経済情勢の変化に伴い労働災害の増加が懸念されており、労働者の心身の健康問題に対処するためには、早い段階から心身の両面について、事業場においては、全ての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要です。

労働者健康の保持増進を図ることは、労働生産性向上の観点からも重要と考えられます。そのため、健康教育等の予防対策に取り組むことが重要と思います。