【働き方改革】ワークシェアリングとは何か?意味や種類・メリットまとめ

皆さんは、働き方改革の一環として推奨されているワークシェアリングについてご存知ですか?

近年のリモートワークやテレワークといった働き方の興隆や、アウトソーシングが一般化したことにより、さまざまな分野でワークシェアリングが再度注目されています。

オランダなどのヨーロッパ諸国で失業率を大幅に低下させた実例もあるワークシェアリング。今、日本でも新しい働き方として定着し始めています。

今回は、【働き方改革】ワークシェアリングとは?意味や種類・メリットについて解説します。

ワークシェアリングとは

ワークシェアリングとは「仕事の分かち合い」と訳されることも多く、これまで主に1人が担っていた仕事を、複数人で行うことにより、一人ひとりの業務にかかる負担を軽減し、効率的かつ生産性の高い業務運営を目指す働き方です。

日本では今から10年以上前に提唱されていた手法ですが、日本でワークシェアリングの考え方が広まり始めたのは近年になってからです。

海外では数十年前からこのワークシェアリングが導入されています。オランダやドイツ、フランスなどではすでに導入され、特にオランダでは失業率を大幅に低下させた実績もあります。また、労働運動が激しかったドイツなどでは、労働時間を短縮し、シェアすることによって雇用状態を維持しようとする動きも活発でした。

中でもオランダでは、1980年代前半にワークシェアリングが推進されるようになると、失業率が徐々に低下して経済危機を克服することに成功し、ワークシェアリングの成功事例として非常に有名になっています。

日本ではワークシェアリングはまだ普及しているとは言えませんが、働き方改革の一環として導入する企業も徐々に増えてきています。

ワークシェアリングの目的や背景

労働市場の悪化により社会問題になっている労働者の過労死。

その一方で失業による自殺が増加するなどの矛盾もあり、雇用問題の改善手段としてワークシェアリングを活用しようという意識が起きています。

労働時間を短縮し、仕事を分かち合うことで雇用が創出され、社会全体の雇用の安定化につながり、解雇規制緩和などの労働流動化や産業構造の転換により、経済全体の安定を目的とします。

ワークシェアリングを導入する目的

厚生労働省は、ワークシェアリングをその目的に応じて4つのタイプに分類しています。

雇用維持型(緊急避難型)

雇用維持型(緊急避難型)とは、不況などのために企業の業績が悪化した際、そのままでは人員削減をせざるを得ないという場合に、緊急避難的な措置として従業員1人あたりの所定内労働時間を短縮すし、企業全体での雇用を維持する方法。これにより業務に必要な従業員の数が増えるため、社内でより多くの雇用を維持することが可能となります。

ドイツ 1980年代より進められたドイツのワークシェアリングは時短の導入により失業者を出さないという方法がとられました。

雇用維持型(中高年対応型)

雇用維持型(中高年対応型)とは、中高年層の雇用を確保することを目的として、中高年層の従業員を対象として従業員1人当たりの所定内労働時間を短縮するというものです。緊急避難型の雇用維持型と同様、こうすることで社内の雇用をより多く維持することができます。国内の企業では、定年の延長や定年後の再雇用などによる60歳以上の従業員の雇用延長対策としての取り組みが中心となっています。

雇用創出型

雇用創出型は、様々な短時間労働を組みわせることにより雇用機会を増やすという方法。失業者に新たな就業機会を提供することを目的として、労働時間の短縮を行うことでより多くの雇用機会を創出しようとするものです。

労働時間を短縮することによって労働者1人当たりの給与が低下したり、企業側の負担が増加したりすることが想定されるため、ヨーロッパ諸国ではワークシェアリングを行う企業に対して政府が助成金を与える制度も設けられています。オランダでは、 「オランダ病」と形容されるほどの経済危機を短時間の雇用を生み出すワークシェアリングによって克服しています。

多様就業対応型

多様就業対応型は、正社員に対して短時間勤務を導入するなどして勤務の形態を多様化することで、より多くの労働者に雇用機会を与えるというものです。具体的な例として、均等待遇を実現してパートタイム労働へのシフトを推進し、女性や高齢者などの雇用機会を生みだしたオランダの事例などが挙げられます。

その就業形態として、短時間勤務・在宅勤務・兼業や副業などがあり、短時間勤務については、高齢者雇用の推進、キャリアを持つ労働者のワークライフバランスの調和、若年者の教育訓練、正社員とパートタイマーの均衡を図るなどの取り組みもみられます。

ワークシェアリングのメリット

それでは、ワークシェアリングをすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

新たな雇用が生まれる

ワークシェアリングの目的の項でもすでに触れましたが、社会全体で見たときのワークシェアリング導入の1番の効果は、それによる新たな雇用が生まれることです。1人当たりの仕事量を減らすことで追加的な雇用が生まれるため、失業率を改善することにつながります。

多様な就業形態が実現

1人当たりの労働時間が削減されることは就業形態を多様化することにもつながります。その代表例がパートタイム労働の導入です。働きたい気持ちはあっても子育て中で仕事に充てる時間をなかなか確保できないという主婦層や、体力的に長時間の労働は難しいが短時間なら働きたいという高齢者層、親の介護などで仕事に充分な時間を確保できなくなってしまった社員などをパートタイムで雇用することが可能になるため、個々人の状況や希望に合わせた働き方がしやすくなります。

企業側としても、多様な就業形態を可能にすることで、フルタイムで働けなくなったことを理由に優秀な人材の流出を防ぐことができるのであれば、それは大きなメリットであると言えます。

労働環境の改善

近年、日本では過剰労働の社会問題が深刻化しています。長時間にわたる時間外労働が常態化しているような、いわゆるブラック企業も多く、過剰労働による過労死も問題となっています。

ワークシェアリングは、このような長時間労働などの劣悪な労働状況を改善することにもつながります。従業員1人当たりの仕事量を減らすことで過剰労働を防止して、職業生活と家庭生活の両立を促し、適切な労働環境を生み出せるのです。

生産性が向上する

1人当たりの労働時間を減らし労働状況を改善することには、生産性が向上するというメリットも存在します。

長い時間ひたすらに仕事をするよりも、適度な休暇を挟みながら短時間で集中して働く方が、業務の効率が良くなります。個々の従業員の生産性が向上すれば企業全体としても活気があふれ、プラスの効果を生み出すでしょう。

経済効果を生み出す

ワークシェアリングを行うことによって経済効果も生まれると考えられています。

従業員の労働時間が長ければ当然余暇の時間も少なくなってしまいますが、ワークシェアリングによって労働時間が短くなれば余暇の時間が増加し、より多くの時間を趣味などに費やせるようになります。結果として個人消費が促進され、景気を刺激することにつながります。また、余暇の時間を増えることは、少子化問題の解決にも効果が期待されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ワークシェアリングの目的は以上の4タイプに分類されますが、総じて大きな目標としているのは、従業員1人当たりの仕事量を減らすことで雇用を維持または創出する、つまり、より多くの雇用を促すことにあります。

ワークシェアリングを取り入れることによって、新たな雇用が生まれるだけでなく、多様な就業形態の創出、優秀な人材の流出防止など様々なメリットがあり、経済効果も期待されます。

日本ではまだあまり浸透していませんが、近年導入する企業も出てきているこのワークシェアリングの取り組み、ぜひ1度導入を検討されてみてはいかがでしょうか。