【わかりやすく解説】デザイン思考とは?デザイン思考のメリットや実行プロセスまとめ

GoogleやAppleも取り入れていることで普及したデザイン思考。

デザイン思考はイノベーションを起こすプロセスと言われており、昨今、デザイン思考をもとに様々なイノベーションが生まれています。しかし、キーワードだけが先行しイマイチ理解していないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、「デザイン思考を取り入れても、なかなか社内に定着しない」と悩んでいる方も多いかもしれません。

今回は、【わかりやすく解説】デザイン思考とは?メリットや実行プロセスについて解説します。

デザイン思考とは?

デザイン思考を深堀りをする前に、そもそもデザインとはどのような定義でしょうか。

デザインとは、主に建築や服飾、美術、広告などの分野で、設計したり表現するなどのクリエイティブな行為を指します。一方、「デザイン思考」はデザイナー的思考の事を指し、デザイナーがデザインを行うプロセスや考え方を、ビジネスに応用したものです。

デザイン思考とは、アメリカのデザインコンサルティング会社のIDEOが提唱した問題解決のプロセスで、デザイナーがデザイン業務で使う思考方法のプロセスを応用して、ビジネスの課題に対して最も相応しい解決を図るための思考法です。

簡単に説明すると、「ユーザーの本質的なニーズを見つけ、イノベーションを起こすプロセス」です。

出典:IDEO-U

デザイン思考で大切なのは、上記のユーザーの期待(DESIRABILITY)と経営としての価値(VIABILITY)と保有技術(FEASIBILITY)です。デザイン思考では、まずユーザーの期待を把握するところからスタートし、その上で把握したインサイト(観察)をもとに、保有技術をうまく活用しつつ、新しい経営の価値は何なのかを追求するものです。

初めてデザインを思考法として捉えたのは、ハーバート・サイモンの『システムの科学』がスタートと言われていますが、その後、デザイン思考について様々な著書や研究論文が出ており、デザイン思考に対する考え方に影響を与えています。

デザイン思考が注目を集める背景

これまで、新たな製品やサービスを生み出す現場では「マーケティングリサーチ」が重要視されていました。これらは、「仮説検証型」のアプローチであり、市場やニーズについての調査結果を分析し、仮説を立て検証し、それを元に製品開発などを行ってきました。いわゆるマーケットインの考え方です。

このようなマーケティングリサーチを実施するためには、事前にある程度正確に問題を把握している必要があります。しかし、ニーズが多様化し変化の激しいVUCA時代では、この仮説検証による問題の本質を捉える事が難しいケースも増えてきています。

そこで、人々のニーズなど課題の本質をスピーディーに分析できる方法として注目されているのがデザイン思考です。

VUCAについての詳細については、以下を参照ください。

VUCA(ブーカ)とは?予測困難な激動時代のリーダーシップ・人材像まとめ

デザイン思考のメリット

では、デザイン思考を行う事によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

新しい発想を生み出す

デザイン思考では、5つの段階「観察・共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」により、得られた結果をチーム全体でレビューします。

仮説検証を経て、PDCAサイクルを繰り返すことで、新たな気付きやアイデア・発想が生まれ、この習慣が根付くことで、新しいアイデアが生まれる環境を整えられます。

デザイン思考の最大の効果は、イノベーションの創出であり、これまでの延長線上にない、全く新しいアイデアが生まれます。 デザイン思考は人間中心設計の考え方であるため、これまでの市場を中心としたアプローチではなく、人々のニーズからその課題の本質を見極める事ができます。

強いチームを作る

デザイン思考は、チーム間のコミュニケーションを重視します。

そして、その思考のプロセスにおいて全員が発言権を持ち、アイデアの重要度も平等に扱われます。メンバーの役職や上下関係に左右されない意思決定のプロセスにより、積極的なアイデア創出のマインドが醸成されます。

プロジェクトやチームに所属するメンバーが自由に意見を交換することで、共通の認識や方向性を持つことができ、さらにメンバー間の信頼構築につながります。

プロジェクトにおいて特に重要なメンバー間の結びつきが強くなると、組織の強化にもつながり、おのずと成果物の品質向上にもつながることになります。

デザイン思考の実行プロセス

ハーバード大学デザイン研究所のハッソ・プラットナー教授が提唱する、『デザイン思考の5段階』という思考モデルを紹介します。

ステップ1: 共感 (Empathise)

ステップ2: 定義 (Define)

ステップ3: 概念化 (Ideate)

ステップ4: 試作 (Prototype)

ステップ5: テスト (Test)

重要なのは、ステップから順番に実行されるのではなく、5つの段階は同時に行われたり、相互にに影響しあい、繰り返されたりすることです。順番にプロセスをたどらなければならないということはありません。連続した手順ではなく、問題を解決するための包括的な考え方だと捉えましょう。

以下、それぞれのプロセスについて解説します。

ステップ1:共感 (Empathise)

デザイン思考のプロセスは、『ユーザーの視点を理解する』ところからスタートします。実際にサービスを利用したユーザーがどのように感じ、思うのかを把握することが目的です。

デザイン思考は「人間中心」を原則としており、デザイン思考においての「共感」は、人々を理解する事を指します。人々がなぜ・どのように行動するのか、ニーズは何なのかを、インタビューや観察などを通して探り、人々が本当に求めている事を見つけ出します。

ステップ2:定義 (Define)

デザイン領域において着眼点を定め、優れた解決策を生むきっかけをつくるステップです。

ユーザーの意見や情報から、潜在的な課題やニーズを抽出します。ユーザーが抱く疑問や問題点を調べたことをまとめます。その内容をベースにしてユーザーの真のニーズを洗い出し、問題がどこにあるのかを明確に定義づけします。そこから、目指すべき方向性・コンセプトを確立するのが「問題定義」のステップです。

︎ステップ3:概念化 (Ideate)

ユーザーのニーズを観察した上で課題を設定し、定義された目的や方向性を実現するためのアイデアを多量に生産するプロセスです。

この段階では、ブレインストーミングやアイデア創出技法が活用され、質よりも量を重視し、考えられるさまざまなアイデアを創造します。定義された問題点に対し、具体的にどのようにアプローチすべきかを考えます。

スタッフやメンバーを集め、枠にとらわれることなく、自由に意見を交換しましょう。より多くのアイデアを出し合い、方策を練ります。仮説を具体化することがポイントです。アイデアの「質」よりも「量」を意識してブレインストーミングを行い、チームのメンバーが思いついた事をとにかくアウトプットする事が大切です。

ステップ4:試作 (Prototype)

アイデア出しの行程を経たあとは、選抜した使えそうなアイデアを試作する段階に入ります。あくまで試作段階なので、ここでは、低価格で早く作成できるプロトタイプを繰り返し作成します。

また、試作を行ったことで見えてくる問題点もあるため、それらを踏まえてさらにアイデアの精度を上げていきます。試作品ができるとアイデアの再現が容易になり、解決策の提案での説得力を補強することができます。

そうする事で、様々な可能性を試す事ができ、経費や時間を節約する事も可能となります。

︎ステップ5:テスト (Test)

プロトタイプの段階で製作した試作品を、実際に市場へ投入し、ユーザーからのフィードバックを受け改善していくのがテストです。

実際のユーザーの意見を聞く事で、「問題定義」の段階で設定された課題を解決するものになっているのか、きちんと機能しているのか等を検証します。これを繰り返す事で、商品やサービスのブラッシュアップを行います。

それまでの方針が正しかったか否かを見極めるだけでなく、今後の課題を決める重要な段階です。改善の度合いはさまざまですが、妥協をいとわず大幅な方向転換をしなければならない可能性もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

デザイン思考が最も活躍するのは、もの作りやクリエイティブ系の仕事だけではありません。どのような事柄に対しても、解決すべき課題の本質を見極め、新しいチャンスを見つける事が出来ます。

しかし、デザイン思考やデザイン経営の認知率だけ見るとまだ低いのが現状です。日本の企業が今後、国際的な競争力をより強めていくため、政府が「デザイン経営」宣言として改めて発表しました。今後は規模や業種を問わず広義の意味でも狭義の意味でもデザインを経営に取り入れる企業が増えていくと予想されています。